腸内環境改善に関する解説

腸管における定着性

腸管における定着性

腸内環境の研究家

腸管における定着性について説明してください。

免疫力を上げたい

腸内常在細菌の多くは、粘液層に付着したのちコロニーを形成し定着しています。粘液層は、上皮細胞に接する高密度の内層と低密度で粘性の高い外層の二層からなり、外層のみから常在細菌が検出され、内層からは検出されません。

腸内環境の研究家

粘液の主要構成成分であるムチンについて教えてください。

免疫力を上げたい

ムチンは、高度にO-グリコシル化された数百万にもおよぶ巨大糖タンパク質です。ムチン遺伝子はヒトで20種類程度見出されていますが、消化管で発現している遺伝子は13種類とされています。また、分泌型と膜結合型ムチンが見出されていますが、小腸や大腸における主要なムチンは分泌型のMUC2です。

腸管における定着性とは。

腸内常在菌は、腸内環境に定着することで生存しています。常在菌が定着する場所は、腸上皮を覆う粘液層です。粘液層には、上皮細胞に接する高密度の内層と低密度で粘性の高い外層の二層があります。ヒト小腸では、粘液層は薄く、外層のみから常在菌が検出されます。一方、大腸では、粘液層は厚く、内層からも常在菌が検出されます。粘液層にはムチンというタンパク質が主成分として含まれていますが、その組成は腸内の部位によって異なります。小腸や大腸で主なムチンは分泌型のMUC2です。常在菌の多くはムチンへ付着することで粘液層に定着しています。

粘液層の構造

粘液層の構造

粘液層の構造

粘液層は、小腸と大腸の両方に見られ、2つの層で構成されています。内層は、上皮細胞に接する高密度の層で、病原細菌の細胞への侵入を防ぐバリア機能を果たしています。外層は、粘性の高い低密度の層で、常在細菌が日常的に接触し、定着する場所を提供しています。ヒト小腸の粘液層は、おおよそ30µm以下の薄い内層と100µm~400µmの外層からなり、不均一の層を形成しているのに対して、大腸の粘液内層は100µm、外層は700µmもの厚さにおよぶことが報告されています。

常在細菌の定着機構

常在細菌の定着機構

常在細菌の定着機構

腸管における定着性(腸内常在細菌の多くは、流動性の高い腸内環境で、粘液層に付着したのちコロニーを形成し定着している)の仕組みは、近年明らかになりつつあります。腸上皮を覆う粘液層は、上皮細胞に接する高密度の内層(Innerlayer)と低密度で粘性の高い外層(Outerlayer)の二層からなる。ヒト小腸の粘液層は、おおよそ30µm以下の薄い内層と100µm~400µmの外層からなり、不均一の層を形成しているのに対して、大腸の粘液内層は100µm、外層は700µmもの厚さにおよぶことが報告されています。これら二層のうち、外層のみから常在細菌が検出され、内層からは検出されない。粘液密度の高い内層は、病原細菌の細胞への侵入を防御するバリア機能を発揮しているのに対して、外層は常在細菌が日常的に接触し、定着の場を提供しているものと考えられる。粘液の主要構成成分であるムチンは、高度にO-グリコシル化された数百万にもおよぶ巨大糖タンパク質である。ムチン遺伝子はヒトで20種類程度見出されているが、消化管で発現している遺伝子は13種類とされている。また、分泌型と膜結合型ムチンが見出されているが、小腸や大腸における主要なムチンは分泌型のMUC2である。粘液層に定着の場を得ている細菌の多くは、ムチンへ付着性を有していることが推察され、その付着機構が解明されつつある。

ムチンの役割

ムチンの役割

腸内環境改善と健康

腸内環境を良好に保つには、腸内細菌のバランスが重要です。腸管における定着性(腸内常在細菌の多くは、流動性の高い腸内環境で、粘液層に付着したのちコロニーを形成し定着している。)が、腸内細菌のバランスを維持するために重要な役割を果たしています。

ムチンの役割

腸内環境改善に重要な役割を果たすムチンは、腸粘膜を覆う粘液の主要構成成分です。高度にO-グリコシル化された数百万にもおよぶ巨大糖タンパク質であり、ヒトで20種類程度見出されていますが、消化管で発現している遺伝子は13種類とされています。また、分泌型と膜結合型ムチンが見出されていますが、小腸や大腸における主要なムチンは分泌型のMUC2です。分泌型のムチンは、粘液層の厚みと粘性を維持し、病原菌や毒素の侵入を防ぐバリア機能を果たしています。また、腸内細菌の付着部位を提供することで、腸内細菌叢のバランスを維持する役割も果たしています。

分泌型と膜結合型ムチン

分泌型と膜結合型ムチン

分泌型と膜結合型ムチン

ムチンは、粘液の主要構成成分である巨大糖タンパク質で、高度にO-グリコシル化されている。ムチン遺伝子はヒトで20種類程度見出されているが、消化管で発現している遺伝子は13種類とされている。また、分泌型と膜結合型ムチンが見出されている。小腸や大腸における主要なムチンは分泌型のMUC2である。分泌型ムチンは、粘液層に分泌されるムチンで、ムチン遺伝子座から転写された後、細胞外で翻訳され、グリコシル化される。膜結合型ムチンは、細胞膜に結合しているムチンで、ムチン遺伝子座から転写された後、細胞内で翻訳され、グリコシル化される。膜結合型ムチンは、細胞を保護する役割を果たしていると考えられている。

粘液層の健康維持における重要性

粘液層の健康維持における重要性

腸内環境改善と健康『腸管における定着性』

-# 粘液層の健康維持における重要性

粘液層は、腸上皮細胞を覆う粘液質の一層であり、腸内細菌の定着と健康維持に重要な役割を果たしています。粘液層は、不均一な層を形成しており、粘液密度の高い内層と粘性の高い外層の2層から構成されています。外層のみから常在細菌が検出され、内層からは検出されません。粘液密度の高い内層は、病原細菌の細胞への侵入を防御するバリア機能を発揮しているのに対して、外層は常在細菌が日常的に接触し、定着の場を提供しているものと考えられます。

粘液の主要構成成分であるムチンは、高度にO-グリコシル化された数百万にもおよぶ巨大糖タンパク質であり、ムチン遺伝子はヒトで20種類程度見出されています。消化管で発現している遺伝子は13種類とされており、分泌型と膜結合型ムチンが見出されていますが、小腸や大腸における主要なムチンは分泌型のMUC2です。

粘液層に定着の場を得ている細菌の多くは、ムチンへ付着性を有していることが推察され、その付着機構が解明されつつあります。粘液層は、腸内細菌の定着と健康維持に重要な役割を果たしており、粘液層の健康維持は腸内環境の改善と健康維持に欠かせないものです。