
べロ毒素

腸管出血性大腸菌(EHEC)とは、産生するヴェロ毒素(毒素)が強い出血性の大腸菌です。O157は、EHECの中で最もよく知られている株で、1982年にアメリカで初めて分離されました。その後、世界各国でO157による食中毒が発生するようになりました。EHECは、牛、ヤギ、羊などの腸管に生息しており、家畜の糞便を介して食品に付着することがあります。EHECは、加熱不十分な牛肉や豚肉、非加熱の牛乳や乳製品、汚染された野菜や果物などを食べることで感染します。
O157による食中毒の症状は、通常、下痢、腹痛、嘔吐です。重症例では、溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症することがあります。HUSは、血液中の赤血球が破壊され、腎不全を起こす重篤な合併症です。EHECによる食中毒の治療は、支持療法が中心です。抗菌薬は、EHECの増殖を抑える効果がありますが、毒素の産生を抑制する効果はありません。そのため、抗菌薬の投与は、重症例に限定されます。
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腸内環境改善に役立つバクテリオファージの可能性
バクテリオファージとは、細菌に感染するウイルスの総称です。 細菌の細胞に侵入してDNAを注入し、そのDNAを宿主のDNAに組み込んで増殖します。ファージは、細菌に感染して増殖する能力を利用して、抗菌剤として使用することができます。
ファージには、菌を殺す特徴や人間を含む動物に悪影響を与えない特徴を持つものがあり、近年ではファージによる殺菌作用に着目した新しい抗菌剤の開発が期待されています。ファージは、様々な細菌に感染することができるため、広範囲の抗菌スペクトルを持つ抗菌剤として期待されています。また、ファージは自然界に存在するものであり、抗菌剤の耐性菌が出現しにくいという特徴もあります。
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