
マクロファージ

マクロファージとは、直径15~20μmの比較的大きな細胞で、全身の組織に広く分布しており、自然免疫(生まれつき持っている防御機構)において重要な役割を担っています。この細胞は、体内に侵入した細菌などの異物を食べる能力に優れており、食べた細菌を消化・殺菌することで、細菌感染を防いでいます。異物を食べたマクロファージは、それらの排除をより効果的に行うため、インターロイキン-1、インターロイキン-12、TNF-α(腫瘍壊死因子アルファ)などのタンパク質を分泌し、免疫機能を活性化します。また、樹状細胞と同じくマクロファージも、取り込んだ異物の情報をT細胞に伝えることができ、より強力な適応(獲得)免疫(異物と接することで得られる防御機構)を誘導します。
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腸内環境改善でT細胞を活性化、健康維持に
腸内環境とT細胞の関係
腸内環境は、T細胞の機能に重要な役割を果たしています。たとえば、腸内細菌の構成が変化すると、T細胞のバランスが乱れ、炎症性腸疾患や大腸がんのリスクが高まることが知られています。また、腸内細菌が産生する代謝物の中には、T細胞の活性化を抑制するものがあり、これによって過剰な免疫反応を防いでいると考えられています。さらに、腸内細菌がT細胞の分化や成熟に影響を与える可能性も示唆されています。
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腸内環境改善と免疫力の強化
トル様受容体とは、自然免疫系が病原体を認識して、生体の防御機構を活性化するための受容体である。1996年にTollというタンパク質に類似していることから、この名前がつけられた。
トル様受容体は、細胞膜上に存在し、病原体の表面に存在する共通した分子構造であるPAMPを認識する。PAMPには、リポ多糖、ペプチドグリカン、リポ蛋白、ヌクレイン酸などがあり、細菌、ウイルス、真菌、寄生虫などの病原体に共通して存在している。
トル様受容体は、PAMPを認識すると、細胞内シグナル伝達系を活性化し、病原体排除に必要な生体防御機構を誘導する。具体的には、インターフェロン、炎症性サイトカイン、ケモカインなどの分泌を促進し、病原体の増殖を抑制したり、アポトーシスを誘導したりする。
また、トル様受容体は、第二の生体防御機構である獲得免疫系の誘導にも関与している。トル様受容体を介したシグナル伝達によって、樹状細胞が成熟し、抗原を提示する能力が高まる。これにより、獲得免疫系が病原体を認識し、特異的な免疫応答を誘導することができる。
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健康な腸環境と細胞性免疫
腸内環境改善と健康『細胞性免疫(細胞性免疫とは、B細胞による抗体産生を介した体液性免疫に対し、病原体そのものやウイルス感染細胞、癌細胞などの異物の排除において、細胞を主なエフェクターとして免疫機構のことをいう。マクロファージ、細胞傷害性T細胞(CTL、キラーT細胞)、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)などの免疫担当細胞自体による排除機構であることから、体液中の抗体による液性免疫(体液性免疫)に対し、細胞性免疫と呼ばれる。)』
腸内細菌の役割
腸内細菌は、腸内環境を維持し、健康に重要な役割を果たしています。腸内細菌は、食べ物を分解して栄養素を産生し、有害な細菌の増殖を防ぎ、免疫系をサポートしています。また、腸内細菌は、腸の運動を促進したり、腸の粘膜を保護したりする役割もあります。近年、腸内細菌のバランスが崩れることで、肥満や糖尿病、炎症性腸疾患などさまざまな疾患の発症リスクが高まることが分かってきました。そのため、腸内環境を改善することが、健康を維持するためには重要です。
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腸内環境改善と健康
Toll様受容体(TLR)とは、細菌やウイルスなどの特徴的な構造(分子パターン)を見分けるセンサー(受容体)です。主にマクロファージや樹状細胞などの自然免疫系の細胞が持っています。
ショウジョウバエの正常な発生に必要な分子として見出された「Toll」と類似の分子として、哺乳類では1997年に発見されました。ヒトでは現在までに10種類のTLR(TLR1~10)の存在が確認されています。例えば、TLR2は乳酸菌などのグラム陽性菌に特徴的な構造を、TLR4は大腸菌などのグラム陰性菌に特徴的な構造をそれぞれ認識し、必要な免疫応答を起こします。
TLRは自然免疫だけでなく、獲得免疫への橋渡し役としても重要です。2011年にTLRの研究に対してノーベル賞が与えられました。
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