
抗菌薬

アンチバイオティクス(抗生物質)には、天然由来のものと合成由来のものがあります。 天然由来のアンチバイオティクスには、ペニシリン、ストレプトマイシン、テトラサイクリンなどがあり、合成由来のアンチバイオティクスには、スルホンアミド剤、キノロン剤、マクロライド剤などがあります。
アンチバイオティクスの使い方は、病気の種類や重症度によって異なります。通常、アンチバイオティクスは、細菌によって引き起こされる感染症の治療に使用されます。ウイルスによって引き起こされる感染症には、アンチバイオティクスは効果がありません。
アンチバイオティクスを服用する際には、医師の指示に従うことが大切です。用法・用量を守らずに服用すると、効果がなかったり、副作用が出たりする可能性があります。また、アンチバイオティクスを服用している間は、アルコールを飲まないようにしましょう。アルコールは、アンチバイオティクスの効果を弱めたり、副作用を強めたりする可能性があります。
アンチバイオティクスは、正しく使用することで、感染症の治療に役立つ薬です。 医師の指示に従って、適切に使用しましょう。
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腸内環境を整えて健康に!感染性合併症予防のポイント
腸内環境と感染性合併症の関係
腸内は人体の中でも特に細菌が数多く生息する場所であり、腸内環境は人体全体の健康を維持するために大きな役割を果たしています。腸内環境の乱れは、免疫機能の低下や炎症を引き起こし、感染症にかかりやすくなると言われています。感染性合併症は、手術や内視鏡検査などの医療行為に起因する感染症であり、術後感染症などとして知られています。術後感染症は、患者の予後を左右する大きな問題となっており、その予防と治療には抗菌薬が欠かせません。しかし、抗菌薬の多用は耐性菌感染症の問題を深刻化させるため、近年ではプロバイオティクスとプレバイオティクスを併用するシンバイオティクスという概念が広まってきています。シンバイオティクスは、腸内環境を改善して感染症にかかりにくい体質を作ることで、術後感染症を制御する手段として期待されています。
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腸内環境改善と健康『菌交代症』
腸内環境と健康の関係
腸内環境は、腸内に生息する細菌のバランスを指します。腸内には、善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種類の細菌が生息しており、それぞれが腸内環境に影響を与えています。善玉菌は、腸内環境を整え、悪玉菌の増殖を防ぐ働きがあります。悪玉菌は、腸内環境を悪化させ、病気の原因となる働きがあります。日和見菌は、善玉菌と悪玉菌のどちらが優勢になるかによって、善玉菌の働きを助けたり、悪玉菌の働きを助けたりします。
健康な腸内環境では、善玉菌が優勢になっています。善玉菌は、腸内を酸性に保ち、悪玉菌の増殖を防いでいます。また、善玉菌は、食物繊維を分解して、短鎖脂肪酸を産生しています。短鎖脂肪酸は、腸の細胞に栄養を与え、腸の蠕動運動を促進しています。さらに、善玉菌は、ビタミンを産生しています。ビタミンは、身体の健康維持に欠かせない栄養素です。
一方、悪玉菌が優勢になると、腸内環境が悪化します。悪玉菌は、腸内をアルカリ性に保ち、善玉菌の増殖を妨げています。また、悪玉菌は、タンパク質を分解して、アンモニアや硫化水素などの有害物質を産生しています。これらの有害物質は、腸の細胞を傷つけ、腸の蠕動運動を低下させています。さらに、悪玉菌は、ビタミンを産生しません。
腸内環境が悪化すると、さまざまな病気の原因となります。例えば、大腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病などの腸の病気の原因となります。また、アトピー性皮膚炎、花粉症、ぜんそくなどのアレルギーの原因となります。さらに、肥満、糖尿病、心臓病などの生活習慣病の原因となります。
そのため、健康な腸内環境を維持することが大切です。健康な腸内環境を維持するためには、善玉菌を増やし、悪玉菌を減らす必要があります。善玉菌を増やすためには、食物繊維を多く摂りましょう。食物繊維は、善玉菌の餌になります。また、善玉菌を増やすためには、発酵食品を多く摂りましょう。発酵食品には、善玉菌が多く含まれています。さらに、善玉菌を増やすためには、適度な運動をしましょう。運動は、腸の蠕動運動を促進し、善玉菌の増殖を助けます。
悪玉菌を減らすためには、脂っこい食事や甘い食事を控えましょう。脂っこい食事や甘い食事は、悪玉菌を増やしてしまいます。また、悪玉菌を減らすためには、ストレスを溜めないようにしましょう。ストレスは、腸内環境を悪化させてしまいます。さらに、悪玉菌を減らすためには、十分な睡眠をとりましょう。睡眠は、腸内環境を整えるのに役立ちます。
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腸内環境改善と健康 ~謎に包まれた糞便移植療法~
糞便移植療法の歴史と概要
糞便移植療法(FMT)は、何世紀も前から馬の慢性下痢や牛、羊の胃のアシドーシスに対する治療法として獣医領域で施行されていました。また、中国では4世紀の晋の時代にヒトの食中毒や重症下痢にFMTが行われ、欧米でも健康回復のため16世紀から行われていました。しかし、食中毒や下痢についてはその後原因菌やウイルスが発見されたため、抗菌薬や輸液などが治療の主体となっていました。
FMTに再度光を当てたのが、2013年にVanNoodらが、抗菌薬では治らなかった再発性Clostridium difficile(CD)感染症に対してFMTを行いCDが除菌できたという論文である。CD感染症とはもともと腸内細菌叢に存在するCDが抗菌薬投与による菌交代により異常増殖し、トキシンを産生し腸粘膜に黄白色の偽膜を作り偽膜性腸炎を呈する病気である。同菌はバンコマイシンやメトロニダゾールに対して感受性であり、本邦ではこの2剤のいずれかの投与により除菌され難治となることは少ない。しかし、欧米では再発性や上記2剤に抵抗性のCD感染があり、臨床的に大問題となっている。これらの難治性CD感染に対して、FMTが唯一有効な治療法と認められて、現在まで多数のFMT治療例が行われ、いずれも80%以上と高い有効率が報告されている。
FMTに再度光を当てたのが、2013年にVanNoodらが、抗菌薬では治らなかった再発性Clostridium difficile(CD)感染症に対してFMTを行いCDが除菌できたという論文である。CD感染症とはもともと腸内細菌叢に存在するCDが抗菌薬投与による菌交代により異常増殖し、トキシンを産生し腸粘膜に黄白色の偽膜を作り偽膜性腸炎を呈する病気である。同菌はバンコマイシンやメトロニダゾールに対して感受性であり、本邦ではこの2剤のいずれかの投与により除菌され難治となることは少ない。しかし、欧米では再発性や上記2剤に抵抗性のCD感染があり、臨床的に大問題となっている。これらの難治性CD感染に対して、FMTが唯一有効な治療法と認められて、現在まで多数のFMT治療例が行われ、いずれも80%以上と高い有効率が報告されている。
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腸内環境改善と健康『菌血症とは』
菌血症とは、外傷や臓器の細菌巣から細菌が流出し血液中に侵入して、無菌であるはずの血液中から細菌が検出される状態のことです。血液中には種々の殺菌因子や免疫機構が存在し感染防御機能を担っていますが、それらの防御機能が低下したり、血液中に入った細菌がそれらの防御機能を凌駕する感染力を有していると、菌血症が重症化して、全身性の炎症反応を引き起こしてしまう場合があります。これを敗血症といい、菌血症とは区別されます。
菌血症を防ぐためには、いち早く血液中の細菌を同定し、抗菌薬投与などの適切な処置をすることが重要です。医療の現場では、血液中の細菌の検出に培養法が用いられていますが、RT-PCR(Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)法を用いることで、迅速に、かつ、より高感度に検出することが可能となります。
菌血症を防ぐためには、いち早く血液中の細菌を同定し、抗菌薬投与などの適切な処置をすることが重要です。医療の現場では、血液中の細菌の検出に培養法が用いられていますが、RT-PCR(Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)法を用いることで、迅速に、かつ、より高感度に検出することが可能となります。
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腸内環境を整えることでMRSA感染症を予防
MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)とは、黄色ブドウ球菌が薬剤耐性を獲得した細菌のことです。1961年に英国で初めて報告され、1980年代になって日本国内に広く分布するようになり、院内感染の原因菌として最重要視されています。これは、黄色ブドウ球菌に対して抗菌力の弱い第三世代セフェム剤の繁用が原因と考えられています。
MRSAは、メチシリンやその他の多くのβラクタム系抗生剤(ペニシリン系、セフェム系)に対して薬剤耐性を獲得しており、ほとんどの抗生剤が有効ではないため、手術後の敗血症、腸炎、肺炎、心内膜炎、腹膜炎等は重症化しやすいです。代表的な治療薬は、バンコマイシン、テイコプラニン、アルベカシンです。
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腸内環境改善と健康『ディフィシル菌関連下痢症』
ディフィシル菌関連下痢症とは、Clostridioides difficile(クロストリディオイデス ディフィシル;ディフィシル菌)によって引き起こされる下痢症です。ディフィシル菌は酸素に弱い細菌ですが、芽胞という耐性状態を形成することによって、酸素や乾燥などの通常では生存できない条件下でも長期間生き延びることができます。そのため、芽胞で汚染された環境(例えば、トイレの便座やドアノブなど)から手指などを介して、口から体内に取り込まれます。Healthy personでは、ディフィシル菌が体内に入ってきても、腸内フローラや免疫のはたらきによって発症しない場合がほとんどです。しかし、これらの防御機能が抗菌薬の服用や免疫機能の低下などによって乱れると、腸内でディフィシル菌が増殖して毒素を産生し、下痢の発症に至ります。ディフィシル菌関連下痢症は、高齢者や入院患者での発生率が高くなっており、症状が治まっても再発しやすいことも知られています。
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